赤ちゃんの頭のかたちのギモン―頭のゆがみはどうなるの?
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前回、向き癖による赤ちゃんの頭のゆがみ(位置的斜頭)について解説しました。
今回は、成長すると頭のゆがみがどう変わるかについて触れたいと思います。
・簡単におさらい
赤ちゃんの頭のゆがみは、まだ自分で顔の向きを変えられない赤ちゃんが、あお向けに寝ていて頭の同じ面が床面から圧迫されつづけておきます。
たとえば、右向きの向き癖があると、下の図のように右の後頭部がへこみ、徐々にゆがみが明らかになっていきます。

Type 1≒軽度 :一側の後頭部がへこむ
Type 2≒中等度:同じ側の耳の穴が前にずれる
Type 3≒重度 :同じ側の額が前に出る
Type 4≒超重度:同じ側の頬や顎が前に出る
Type 5≒超重度:反対側の側頭部が突き出る
・頭のゆがみは自然に治るの?
向き癖の有無によって頭のゆがみがどう変わるかを観察したところ(van Vlimmeren LA, 2017)
1.向き癖がある子は、生後7週のとき約半数に頭のゆがみがありました。
ほとんどは軽度のゆがみで、中等度以上のゆがみが少数ありました。
頭のゆがみは成長とともに軽くなり、5歳半の最終観察では向き癖があった子の1 / 4(ゆがみがあった子の半数)が軽度のゆがみを残しました。
2.向き癖がない子は、生後7週のとき約1 / 6に頭のゆがみがありました。
全員が軽度のゆがみで、中等度以上のゆがみはありませんでした。
頭のゆがみがある子の割合は、5歳半までほぼ一定でした。
また、重度の頭のゆがみの経過を追った報告では、
1.生後3か月からの2か月間で、経過観察のみでは頭のゆがみの強さは変わりませんでした(Noto T, 2021)。
2.生後半年までにヘルメット治療(約4か月)を開始した子では、治療が終わるころには頭のゆがみが正常近くまで改善していました。
生後半年より後にヘルメット治療を開始した子では、より長い期間(約5か月)治療したものの、軽度のゆがみが残っていました(Nagano N, 2024)。
これらから、頭のゆがみの経過は次のように推測されます。
・軽いゆがみの一部は治り、ゆがみが残っても軽いだろう
・重いゆがみはいくらか軽くなるが、ある程度は残るだろう
・頭のゆがみが残ると何が問題か?
頭のゆがみによる短期的な影響については、発達への影響が調べられています(Charalambous L, 2024)。
頭のゆがみの有無によって、1歳台での発達は ①影響を受けないという報告と、②運動や言葉の発達にいくぶん影響するという報告とがあります。
ただ、この結果の因果関係に注意が必要です。
もし頭のゆがみのせいで発達が遅れたならば、「治療で頭のゆがみを治したら、治さないより発達もよかった」というエビデンスが出ているはずです。
これまでのところ、そのような結果の報告はありません。
また、頭のゆがみは視野に影響するかも、という指摘があります。
これ以外(耳の聞こえ、顎の左右差など)については、十分に調べられていません。
赤ちゃんのころに向き癖が強かった人は、成長後も頭の形のゆがみが残るようです。
残ったゆがみが軽ければ後頭部の左右差くらいですが、強いゆがみだと耳や目の位置、顎のかたちなどにも左右差を残すかもしれません。
顔のゆがみを残すと、そこから二次的な影響(見え方、噛み合わせ、姿勢など)が生じるともいわれます。
ただし、長期的な影響については確かな研究がみあたらず、推測の域を出ていません。
成長した後で頭の形を変えるのはとても難しいので、赤ちゃんの頭の形に何かしてあげたいと少しでも思う場合は、まず小児科で気軽に相談されるのがよいでしょう。
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