泣き入りひきつけのギモン―頭をぶつけてけいれんしたのですが?
- タムスわんぱくクリニック西葛西駅前
- コラム
- 泣き入りひきつけのギモン―頭をぶつけてけいれんしたのですが?
私が研修医だったころ、次のような子どもの救急搬送がありました。
- ―ある日、熱が出たのでかかりつけの小児科を受診した
- ―待合で転んでソファーに頭をぶつけたら、意識を失ってけいれんした
- ―熱性けいれんか脳出血か分からないので、かかりつけ医が救急車を呼んだ
- ―救急車を待つ間に目が覚め、救急車が着いた時にはいつもの様子だった
- ―話を聞くと、「数秒意識を失いピクピクしていた、すぐに目が覚めた」
このように、不意の痛み(転んで頭をぶつけた、友だちとぶつかった)、恐怖や驚き(親に叱られて怖かった)をきっかけに泣き入りひきつけが起きることがあります。
血の気が引いて顔が白くなる見た目から、「蒼白型」と呼ばれます。
蒼白型の泣き入りひきつけでは、きっかけがあると(少し泣くこともありますが)泣く間もなく顔色が白くなり、脱力して意識を失います。
意識を失っているとき、体は反り返る・突っ張る・びくびくすることがあり、これが「けいれんした」と言われることがあります。
チアノーゼ型と同様に意識は速やかに回復して、後遺症は残しません。
蒼白型の泣き入りひきつけでは、先行するきっかけに反応して迷走神経(副交感神経)が働きすぎて心拍が遅くなります。その結果、心拍が遅くなって血圧も下がり、脳血流が減って意識を失います。
これと似たようなことは、大きな子どもや大人でも起きます。採血の痛み、強く怒られた恐怖などをきっかけに、同じようなことがおきて失神することがあります(血管迷走神経性失神)。
蒼白型は理屈的には分かりやすいのですが、チアノーゼ型にはない問題点もあります。
まず、チアノーゼ型に比べて泣き入りひきつけだと分かりにくいことです。
チアノーゼ型の場合はしっかり泣くので、泣き入りひきつけと容易に認識されます。
しかし、蒼白型では先行した痛みなどと意識を失ったことの関連に気づかないと、「突然、意識を失ってビクビクした」と見えてしまいます。小児科医ですら、てんかん発作で意識を失って転んだと誤解することがあります。
また、頭をぶつけて意識を失うと、重症の頭部外傷を疑う必要があります。恐怖をきっかけに不整脈を起こし、失神することもあります。
このような「稀だけど見逃してはいけない意識消失」は、蒼白型の泣き入りひきつけと区別するのが簡単ではありません。
蒼白型の泣き入りひきつけのようなことが起きたときは、安易に決めつけず小児科でしっかり診ていただくことをお勧めしたいです。
- タムスわんぱくクリニック西葛西駅前
- コラム
- 泣き入りひきつけのギモン―頭をぶつけてけいれんしたのですが?